合成繊維ロープ 12打ロープのアイスプライス画像で説明

加工

一般ではなかなか見ることのない構成のロープです。国内外海外ロープメーカーで加工方法様々です。極論を言うと下手くそでも繊維ロープ特性上ロープが張ることにより組み合わさってる部分が締まることから抜けなくなりますので、機能としては働きます。しかし規格強度以上目的とするならば(経年劣化は含めない)正しいスプライスをしなければいけないと思います。

これから説明するスプライス方法は、たくさんの船舶に乗り込み、たくさんのロープを見てきて、現在私がお勧めする加工方法です。

現在では大型船舶などではスーパー繊維ロープが主要になってきています。ワイヤーと比べた利点は軽くて扱いやすいのに強度的に同等。グリスアップもしなくていいのでメンテナンスが容易。欠点は繊維なので尖った部分に弱くそこが原因で破断の恐れがある。高価である。

今回の加工方法はストランドの同じよりを合わせて差し込んでいってます。同じよりを重ねている理由はちがうよりで編み込むことでその部分の摩擦抵抗から劣化を早めてしまうのではないということが考えられます。(真相はメーカーが知っている?)あながちまちがってはないと思います。

それではロープの説明を踏まえて加工していきます。

12打とは、Z よりストランド6本および S よりストランド6本を、それぞれ 2 本ずつ引きそろえ、交互に 6 組を編んだロープです。非自転で柔軟性が良好でキンクしにくいのです。

12打ロープは、8打ロープより高強度で縒りがかかりづらく、扱いやすく、耐候性に優れ、12打の仕上がり面は平滑な構造であるため、スレに強 い条件が要求される係船索に最も適したロープと言うことになります。

LNG船や鉱石船、タグボートなどへのロープ、修復加工、スプライス講習などを行ってきました。修復加工はメーカースプライススペシャリストのみ加工許可という厳しいルールがある商船会社もあり、そんなときは私の出番としてロープメーカー様からのオファーがあったりします。スペシャリストといっても、なにか特別な国家資格があるわけでもなく、単に職人歴20年超えてるってだけの信用です。従って、現場作業も的確で迅速そして丁寧な作業は若年職人では厳しいこともあります。シンガポールの造船所などでは、甲板上は灼熱で過酷です。そんなところでダラダラとやっていては良いことは1つもないです。

タグなど、常に危険を伴う現場の方にしっかりした、かつ簡単なスプライス方法を教えに行ったりしますが、数時間でマスターするのはなかなか難しく、日頃の鍛錬は不可欠です。

専門用語はなるべく無しで、なるべくわかりやすいようにいきます。

まずはこのように展開します。基本的に、ナイロンやポリエチレンなどの素材のロープでは4回以上。スーパー繊維素材のロープでは7回以上は差します。よく聞かれるのがこの展開の仕方がそもそもわからない。と言われます。まず下側に向かっている(黒)だけに着目して、ある程度バラしたら(6回ほど差すには10山ほど必要)黒の山だけを引っこ抜いては下に放つ。黒、黄、黒、黄と交互にバラけていますが、最後だけ黄、黒になっています。

黒手前2つを黄色の山を持ち上げ(穴を開けて)挿入します。着目点は同じ撚り(黒は黒)の上に乗っかるイメージです。そしてギリギリまで入れ黄色同士がくっつくまで入れます。1黒 2黒

全体をひっくり返し、一番最初に入れた黒よりも先の、一番一番手前の黄色が対象となります。ここも差し込んだら、目一杯入れてください。(必要以上にぎゅうぎゅういれてはいけません)3黄

画像の通りに黒、黄と入れます。4黒 5黄

続いて反対側も同様に、今度は黄、黒と入れます。6黄 7黒

最後に黄を入れて、1回目の差し込みが終わります。8黄

ここで、おや?6本を入れてるのに8回やってる?となりますが、4黒と6黄が余分に差しています。これには訳があって、この箇所を入れることにより、首元の弛みを防ぐ役割となります。それと見た目も美しくなります。

これで3つずつ開いた状態になるので、ここからは、手前から黒黄黒黄黒黄と交互に6回入れます(6回で1セット)

続いては、黒黒黒と差し、黄黒黄黒黄黒、そして黄黄黄と差します。

ここまで終えると4回差したことになります。7回差す場合、再び黒黄黒黄黒黄に戻ります。

最後、左右3つずつ広がってる状態になっています。手前4本黒黄黒黄と差したらひっくり返して手前の黒黃を差すと、バランスよく差し終わっている状態になります。

そしたら2ストランドで1まとめにしているものを半分の1ストランドにして1ストランドのみをすべて6箇所1回差して出来上がりになります。最後のこれはなぜするのかは、差し終わりに負荷が集中してしまうのを防ぐために一手間加えます。

今後、もっとわかりやすいように修正していければと思いますので、今回はこれにて失礼します。

ロープメーカー様取引先企業様との兼ね合いもあり、なかなか画像として出せないものが多いですが、すこしずつ繊維ロープの魅力や、使われ方などを紹介できたらと思います。